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사내(男)

 作詞:羅勲児 / 作曲:羅勲児

≪市販DVDバージョン≫

あたかも怪しい地下クラブに迷い込んだような、不気味なムードあふれる舞台では、ストリートの若者ファッションに身を包んだ男女ダンサー達が、一見だと秩序なく、ばらばらに踊っているように見えるが、これが、実は、計算されていて、よくよく見ると、均整が取れているのが不思議だ。

振り付けが凝っている。
ステージ奥上の大画面では、多くのダンサー達の踊りも分割場面で映し出されていて、思わず見入ってしまう。
ステージはあたかもダンス会場のようだ。

少し長く感じるイントロの演奏中に、本コンサートでの初めての着替えとなる、カジュアルな衣装に、サングラスの羅勲児が、マイクスタンドと共にさっそうと現れる。
そして、歌いだすのだが・・・・・・。

羅勲児の表情が変なのだ。
照れて笑っているような、ばつが悪そうな、居心地の悪そうな、そわそわしているような、一言で言うと、落ち着きのない表情なのだ。
自信たっぷりに歌い始めるのが常の羅勲児にとっては、非常に珍しい。
曲の途中くらいからは、元にもどったので、新曲だったから、緊張したのかな、くらいに思っていたものだ。
ただ、何度も観ているうちに、気にならなくなり、忘れかけていた時、このアリスコンサートライブの実況録音を聴く機会に恵まれた。
ビデオで観たところの本コンサートは、曲と曲との流れが、あまりにもスムーズなので、実際は、どうなのか知りたかっただけに、非常な興味を持って、聴き始めたものだ。
すると、ほとんど、ロスタイムはなく、すごいなあと、感心しきりだった。
羅勲児のおしゃべり部分が、カットされていたくらいだったのだ。

そんなとき、本曲が始まりだした。そこでびっくりするようなことが・・・・・・。

こういうこともあるのか、と、にわかに信じられず、すぐ聴き直したくらいだ。
出だしの、「큰 소리로 울면서」を、1小節早く、歌い出してしまったのだ。

バックのオーケストラ演奏陣はびっくりして、「そこ、違う!ここ!」といわんばかりに、強調して、演奏を返す。
ここで気づいたのか、羅勲児は、すぐにもういちど、「큰 소리로 울면서」と、歌い直して、事なきを得たようだ。

気づかずに歌い続けていると、歌とバック演奏や、ダンサーとも合わなくなるので、ひやひやものだったが、それは、百戦錬磨の羅勲児、すぐに気づいて、修正したようだ。

しかし、根から、誠実で正直な羅勲児は、表情まではコントロールはできなかった、ということだろう。

実際のDVDやTVでは、間違った歌い出し部分は、きれいにカットされているし、オーケストラ陣の強調した演奏も、調整されていて、そういう風には、聴こえてこない。
何か、人の知らない秘密を知ったみたいで、ファンとしては、変にうれしかった。
せめてこれぐらいのハプニングでもなければおかしい、ぐらいに、本コンサートは完璧過ぎ、と思っていたので、ちょっとほっとしたものだ。

曲そのものは、アップテンポの小気味のよいリズムに乗り、「男らしく生きるんだ」、というテーマの詩に乗せて、羅勲児が、チョイ悪ムード?の衣装で、快調に歌っている。

(参考直訳)
・・・・・
大きな声で産声を上げて この世に生まれてきて
豊かなものは何もないが 卑屈には決してならなかった
時には恋に落ちて 大いによろよろとしたときもあったが
くちびるをぐっと噛みしめて 男らしく笑い飛ばしたものだ
ああでもない こうでもないと迷いながら はらはら ひやひやしながら
まさかとかよもやとか 悩まされたりもしながら 生きて来た
この世を信じてきた 自分で自分を信頼してきた
追憶の彼方の友よ もちろん あなたも信じていた

着飾らないこの身で この世に生まれてきて 自慢できるものもないけど
恥ずかしいものもなにもない
しばらくは 分別や聞き分けがない時節に さすらいさまよう時節もあったが
焼酎を一杯飲んで 男らしく忘れてやったものだ
ああでもない こうでもないと迷いながら はらはら ひやひやしながら
まさかとかよもやとか 悩まされたりもしながら 生きて来た
この世を信じてきた 自分で自分を信頼してきた
追憶の彼方の友よ もちろん あなたも信じていた
未練のようなものはない 同様に 後悔もない
男らしく生きていくことが 男らしく行くことが
・・・・・
(2016年2月9日:美辞麗句)

≪テレビバージョン≫
エレクトリックギターの音とともに観客側の左右の舞台通路からの二人乗りの十台あまりのバイクの進入があり不穏なムードに。
いったい何なのかと思わせる演出。舞台をぐるぐる回りだす。

「Ladies and gentlemen. Welcome to the tunnel」と英語のアナウンスがあり、いよいよ新曲が始まる。
オートバイから次々に、男女のカジュアルな衣装の若者が降り、軽快なリズムの曲に乗り、踊り始める。
そして、舞台右側よりカジュアルな衣装に着替え、サングラスの羅勲児がマイクスタンドを持ちながらさっそうと現れる。
が、歌い始めから、何やらばつの悪そうな表情。照れているような感じ。着替えに、てこずったからか。ただ、徐々に普通にはもどったが。

バックボーカル陣は楽団の前、ダンサー達の後ろ側で一列に並んでいる。中間の部分では、羅勲児はダンサー達と合わせて踊る。
左右に大きく動く振付。驚いたのが、観客側からほとんど見えないのに、バックボーカル陣も前の羅勲児やダンサー達とシンクロして左右に大きく動いて踊っていること。手抜きなし妥協なしの姿勢がよくうかがえる。

このライブでは全編でこの精神が貫かれている。
観客席では心地よいリズムに気持ちの良くなった男性客も踊りだす。そして、ダンサー達とともにエンディングポーズ。

(2015年9月26日:美辞麗句)
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