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님 그리워(君恋し)

 作詞:沈亨燮 / 作曲:沈亨燮

≪市販DVDバージョン≫

エレクトリックギターの短いイントロから始まるこの曲、前曲と同様、「歌客 羅勲児」以来の登場だ。

前コンサートとの違いは、ゲストの女性アコーディオン奏者が全編で存在感たっぷりに演奏していることに尽きる。
特にイントロ(曲のテンポも決めることになるので、かなりのリハーサルはこなしたはず)とエンディングのソロは、曲の出来を左右するだけに重要な役割を担っている。
この曲に、アコーディオンを採用した編曲のお手柄だ。なぜか懐かしい気分にさせるアコーディオンの音色が曲調によく合っている。

この曲から続けて3曲、性質の異なる3種の楽器の女性奏者を中心に据えているのもよく考えられている。
重い音色のアコーディオンから軽い音色のフルート、そして最後に重い音色のコントラバス、といった順番での演奏で、構成が上手だ。
また、あたかも、羅勲児と女性奏者とがデュエットで歌っているかのように曲が進んでいく。

(今までのコンサートではどちらかというと羅勲児がひとりで頑張っていた感があった。
自分が、自分がという気持ちが強すぎたのかもしれない。
今コンサートでは、肩の力を抜いて自然体で歌っているような気がする。周りを見渡す余裕も感じられる。表情も落着いていて穏やかだ。
心境の変化か、それとも悟りでも開いたのだろうか。)

3曲とも同じパターン(イントロとエンディングではソロ演奏、全編で演奏)を貫いている。そして、曲の切れ目では、3奏者とも間髪をおかずに演奏を始めていて、観客の興を醒まさせないようにしている。
このあたりの演出も抜かりがない。

この曲あたりから、羅勲児の額の汗が目立ってくる。熱が入ってきている証拠か。

さて、曲そのものについてだが、
「恋焦がれていたあの方が急にいなくなり、探してみるも、手がかりひとつもなく、悲嘆にくれている」女心を詠っていて、その心情を、羅勲児が切々と訴えかけている。

もし羅勲児の曲別売上ベスト10のリストがあれば、この曲は間違いなくランクインしているはずだ。ひょっとするとベスト5、いや、ベスト3以内かもしれない。
울긴 왜 울어」(なんで泣く)は、2002年の「歌客 羅勲児」以来、とんと登場しなくなったが、この曲も間違いなく、ベスト5以内のはずだ。
この2曲に共通しているのは、他の歌手にはない羅勲児の独特のこぶしが利いた歌いまわしが、たっぷり堪能できることだ。
音を延ばす部分を歌う手法が、民謡や詩吟の歌い方に似ていて、決して1本調子にはなっていない。ひとつの音程ではなく、高低を微妙につけ、強弱もつけて歌っている。このおかげで、「単なる演歌調の歌」、ではなくなっている。やはり、「羅勲児節」と、呼ぶべきだろう。
(個人的にはこの2曲が、売上1位と2位ではないかと思うのだが、羅勲児ファンの皆様はどうですか?)

(参考直訳)
・・・・・
尋ねに尋ね 探しに探しました 貴方がおられたという場所を
でも冷たい夜風が吹きつけるだけで 貴方はお見えではないのです
かなたの月を見上げて 問うてみたりしました
いったい貴方はどこにおられるのかと
涙が枯れるほどまで泣きながら 尋ね探しても
貴方はどこにもおられないのです

尋ねに尋ね 探しに探しました 貴方がおられたという場所を
冷たい夜風が吹きつけたのも遠い昔のこと 貴方はおいでにならないのです
かなたの星を見上げて 問うてみたりしました
いったい貴方はどこにおられるのかと
涙が枯れるほどまで泣きながら 尋ね探しても
貴方はどこにもおられないのです
・・・・・
(2015年11月07日:美辞麗句)

≪テレビバージョン≫
ゲストのアコーディオン奏者のイントロから始まる。
横にいる羅勲児の方を見ずに演奏に集中。
奏者とのコミニュケーションは無理と察したのか、左端の観客へのサービスなのか、遠く離れた舞台の最左端で歌う。

最後には中央にもどる。アコーディオンのエンディングで終わる。

こういう演歌調の歌い方も羅勲児は上手。独特のこぶしで音をひっぱる歌唱が心地よい。
民謡の素地があるのかも。

(2015年9月26日:美辞麗句)
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