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라구요(らしい)

 作詞:カンサネ / 作曲:カンサネ

「思った場所に、舞台下からマイクスタンドが出て来ない」という、お笑いコントのような場面が展開される。
羅勲児の表情は真剣そのもので、曲の前のトークも硬い表情のままだ。
二人の男性バックボーカルが、羅勲児の左右に加わり、曲が始まる。

ポップス調のバラードに近い、ゆったりとした速さで展開される。
伴奏は、ほぼキーボードのみで、1番を終え、中間部からは、バイオリン主体の伴奏が加わるぐらいだ。
アコースティック(電気を通さない生の)演奏で終始している。
途中の、バックボーカルが加わるハーモニーの部分は、見事に尽きる。
身振り、手振り、顔の表情から判断すると、羅勲児のこの曲への思い入れが伝わってくる。

元曲は、「강산에」という、ロック・フォーク歌手の1992年度の作品だ。
実際、聴いてみると、少々荒っぽい、ロック風の歌い方で、若者には受け入れられても、中年以上には、拒否感がありそうな印象を受ける。
羅勲児が歌うと、そのマイナス部分の荒っぽさが、解消され、心地よい、スムーズなフォークバラード調の、格調高い曲になっている。さすがに、「歌客 羅勲児」だ。
今回のコンサートの一連の流れの中で、この曲が、この部分に入ってくるのは、正直、違和感さえある。
それを承知で、ここに持ってきたとすれば、それほどまでも、強調して訴えたい特別な曲だった、ということだろう。
この曲が始まる前に、羅勲児がこう言っている。
「故郷が北(朝鮮)だと、いくら懐かしく思っても、行けない、帰れない、悲しいけど、それが現実だ」。
ここからの2曲がそのことを、ある意味(特に、歌詞の内容)象徴する歌だとすれば、羅勲児の重苦しい表情、この部分への2曲挿入も、分るような気がする。

(参考直訳)
・・・・・
豆満江 青い川水で 櫓(ろ)をこぐ船頭に 出会うことはないだろけど
この歌だけは とても上手なそれは 私の父の 最も得意とする曲 とりわけ 十八番(おはこ)の曲
それゆえ 十八番(おはこ)の歌なので 故郷への思いが 募るとき
焼酎が必要になるときは いつでも 涙で 一睡もしないで夜を明かしたとき
私の父は いつまでも 話して取り持ったのだよ
死ぬ前に 必ず一回は 帰ってみればいいのだね だと思っていたのだよ

吹雪が吹きすさび 風が冷たい 興南埠頭に 帰ってみることは 出来なかったけど
この歌だけは とても上手なそれは 私の母の 最も得意とする曲 とりわけ 十八番(おはこ)の曲
それゆえ 十八番(おはこ)の歌なので 残りの人生 あるのはあるけど
どれほどのこっているのだろうか いつでも 涙で 一睡もしないで夜を明かしたとき
私の母は いつまでも 話して取り持ったのだよ
死ぬ前に 必ず一回は 帰ってみればいいのだね だと思っていたのだよ
・・・・・
(2019.10.8 美辞麗句)

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