← 読み易い行間が選べます(IE4以降で有効)

장녹수 (張緑水)

 作詞:朴成勳 / 作曲:イム テクス

銅鑼(どら)の音が響き渡り、韓国時代劇の1シーンのような舞台がここに始まり、展開していく。
先導の歩兵達の後、色とりどりな豪華な衣装の官女達が続く。
そして、ほぼ同時に、4人で操る、人力車のような乗り物に、羅勲児(国王の「燕山君」(ヨンサングン)役と思われる)が腰掛けて、歌い始める。
この時、人力車はまだ進んでいて、羅勲児が重いのか、ぐらぐらしている。
その中での歌唱だが、揺れているのにもかかわらず、涼しい顔で、声もゆれることもなく、平然と歌っている。
曲が進むに連れて、車から降り、舞台中央で歌い続ける。同時に、十数名の官女風の踊り手たちは、一糸乱れることなく、厳かでいて優美な踊りを展開していく。
手腕から袖部分までがかなり長い衣装だが、その特長を生かした、簡素だがあでやかな踊りになっている。
ここでも振り付けの上手さが現われている。

中間部では、舞台上部から現われた、3名の上官女風の踊り手を舞台に迎え入れるが、ここら辺のタイミングの取り方は見事である。
この3名の上官女(真ん中の官女は、「張緑水」(チャン・ノクス)の役だと思われる)の、タイミングを計った登場の仕方や、先導する歩兵が、振り返って迎えるところも、芸が繊細で、一切、手を抜かない演出が見事である。
あっという間に、2コーラス目が終わり、曲も終了となった。

羅勲児の、まるで、壮大な大河ドラマの内容を歌で語っているような、山あり谷ありの起伏を感じさせられる、説得力のあるのびやかな歌い声は、バックの、絢爛豪華な衣装の踊りと合わせて、このコンサートにおける一大ハイライト部分となっている。

さて、元曲についてだが、1995年の作品で、朝鮮三大悪女のひとりの、「張緑水」(チャン・ノクス)がテーマだ。
朝鮮10代国王である、「燕山君」(ヨンサングン)の側室(妾)として宮廷入りし、王室の財産の私物化など、悪事の限りを尽くした。
そのため、民衆や役人たちからひどく恨まれ、国王が失脚したとき、処刑されることになる。
どうして、奴婢の身分の、「張緑水」が王の側室にまで成り上がれたのかが、不思議だが、一説によると、自分の願望を押し通す、押しの強い性格が、王の好みに合ったとされているが、例によって、諸説あるようだ。

(参考直訳)
・・・・・
過ぎ去る歳月 風に乗り 流れ行く あの雲よ 数多い 王の酒宴の談とともに 過ぎ去るもの どこに行くのだろう
宮廷の軒先 恨みを宿す結末を 書き綴り 涙川を経て 尊い意思を掲げ
富貴も栄華も 雲のごとく 過ぎ去り なくなる あきれたよ (緑水)ノクスは 墓で ひとりで 泣くのか

ひとかけらの雲を従えて さすらうお月様よ 恨み多くの 王の酒宴の談とともに 息あるもの どこに行くのだろう
王服の 恨みの袖に 積もる愁いを心に秘め 霞の川を経て 尊い意思を繋ぎ
富貴も栄華も 雲のごとく 過ぎ去り なくなる あきれたよ (緑水)ノクスは 墓で ひとりで 泣くのか
・・・・・

(2019.10.23 美辞麗句)

歌客 羅勲児 公演へ戻る

羅勲児日本ファンサイトTOPへ