大横笛奏者の見事なイントロから始まり、5名からなる韓国伝統楽器の音もそれに加わり、この部分だけで、この曲の成功が約束されたも同然のような印象だ。
대금(テグム)大芩(大横笛)奏者、
태평소(テピョンソ)唐人笛(チャルメラ)奏者、
장구(チャング)杖鼓(大型の鼓)奏者、
꽹과리(ケンガリ)小鐘(小ゴング)奏者、
가야금(カヤグム)伽倻琴(韓国琴)奏者、の男女5名の奏者は、舞台後方の、高めの台上に陣取っているが、曲に与える効果は特筆もので、独特の荘厳な雰囲気を、曲全編に渡って醸しだしている。
そんな中、舞台には、白一色の、2本の羽根大扇を手に、計20名の女性伝統舞踊の踊り手達が、次々と蝶のように鮮やかに現われ、扇で波をつくりながら、主人を迎えるような踊りを演じ、内、2人の踊り手は、その前に歩み出ている。
そこに白一色の韓服姿の羅勲児が登場し、そこへ、踊り手のひとりが、羅勲児に扇子を手渡している。なんともいえない粋な演出だ。
そして、羅勲児の歌も始まる。
相変わらずの節まわしの上手さは、唯一無二だけど、後方での女性踊り手たちが成す、踊りの所作も、華麗で優雅、かつ、調和がとれていて惚れ惚れする。
それに、何よりも印象的なのは、踊り手たちの満面の笑みだ。癒されて観ていて楽しくなる。
また、曲の中間部、隊列を組んでの、羽根大扇が波を打つ踊りは、見事の一言だ。
曲が2コーラス目に入り、その後半部分に入ると、新たに、7、8名ほどの高官韓服姿の男性踊り手達が踊りに加わる(美男ぞろいで化粧も施されているので、中には女性に見えそうな踊り手も)。
それぞれ、扇を手に持ち、笑みを浮かべ、時には、仲間と会話をしているかのように、時には、女性踊り手達の扇に動きに対して、呼応するかのように、時には、まるで、劇(ドラマ)を演じているかのような所作が見られたりで、効果的なこと、この上なしだ。
そして、エンディングとなるが、ここでの演出のきめ細かさも見事だ。
曲の最初に、羅勲児に扇を手渡した女性踊り手が、舞台後方から、円を舞いながら、徐々に、曲の終わりかけるタイミングに合わせるかのように、舞台前方に、そして、羅勲児の真横まで、舞いながら移動する。
そして、曲の最後に、羅勲児の側に寄り添い、顔を近づける。そして、その様子をあたかも見られないように、羅勲児は、素早く扇を広げ、愛の場面を覆い隠す、という演出だ。役者だ。
登場人物全員が、役者ぶりを十二分に発揮している。これこそプロの芸だ。
当公演の代表曲のひとつ、と言っても過言ではないほどだ。
コンサートは続く。
(「딱 한 번 인생」参考直訳)
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たった一度きりの人生なのに 何を ためらっているのか
恋愛 そして 別離 痛苦 幸福 ごくありふれた 世の常
泣かないで 歳月は過ぎ去る 不本意にも 青春は過ぎ去る
やめろ やめておけ 踊ろうよ よいやさ ふんわりと
回り そして 回る 人生なのに 何を気にしているのか
生まれつきの運命に かかわらないで 皆 ありのまま 上手くやろうよ
泣かないで しわになる 綺麗な顔も 皆 年を取る
やめろ やめておけ 歌でも歌おう ぴいひゃらと 拍子を合わせて
泣かないで 人生など 恋愛なければ 何があるのか
やめろ やめておけ 恋愛でもしようよ おう よしよし 私の恋 おう よしよし 私の恋
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(2021.03.18 美辞麗句)