韓国の本【不朽の芸人・羅勲児】本文Part1−7a

歌手達はなぜ音響に執着するのか?

 音楽の演奏で最も重要な要素は楽器だ。楽器は音を作って音楽を完成させる。これにもう一つの要素を加えるなら楽器が作る音を増幅させたり調和して響く様に助ける多様な装置などだ。
 このような装置の中には建物の構造も含まれる。16世紀後半ベネチアのサンマルコ聖堂がまさにこの役割をした。ベネチアはローマと共にイタリア教会音楽の中心地だったので、当時の作曲家達は音楽が演奏される空間の特徴を念頭に置いて作曲をした。
特にピラルツは回廊が互いに向かい合っている聖マルコ聖堂の内部構造を活用して華麗で劇的な曲を作った。当時流行した二重唱もこのような空間的特徴と無関係ではない。

 現代の公演で音の伝達に最も重要な役割をしているのはマイクだ。 音響施設の発達と共に大衆音楽が発達したと言っても過言ではないが マイクは過去とは又違った立地環境を築いて音楽自体にまで影響を及ぼすようだ。
日帝強占期に録音された歌謡を聞いてみると唱法がそれほど派手やかであったり積極的では無い。少し細くしなやかに聞こえる。マイクがよくない訳もあるだろうがこのようなために歌手達が細技をそれほど練らなかった可能性が高い。
このようにマイクを始め音響システムの発達と共に歌手の音声はより精密な感情を盛り込み表わし始めた。
“独特な音色を持っている。歌の間間の息使いまで魅力的に聞こえる。とても良かった。”

 ‘復活’の金テウォンがスター志望生の歌を聞いて下した評価だ。いつの頃からか歌手の感性伝達能力と歌唱力を評価する時‘息使い’と云う単語がやたらと登場した。音響施設がこれほど良くなったという話だ。
息使いまで探し出すマイクは歌謡界に全く新しい次元を開いた。過去の発声法は大部分声を増幅させるのに集中した。マイクは声を育てて遠くへ送るのに対する負担をなくした。 勿論長時間公演を持続する能力は今も変わらず重要だ。

 前世紀、マイクと録音技術の発達で大衆の心を表現する音楽の素養が爆発した。
今は高度に発達したマイクが絶頂の歌唱テクニックを要求する時代になった。歌手達には負担のようだが大衆は楽しい。 要するに21世紀は‘ニュアンス’が籠った息使いまで楽しむ時代に突入した。
(日本語訳:byおおきに2015.1.21)

【本文Part1-7b】

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